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シナリオ設定時の注意点
マーケティングオートメーションツールを導入した企業においては、最新のデジタルツールを導入したことをきっかけに、高度なシナリオの実装を試みるケースも多いかと思います。Salesforce Marketing Cloud Engagementでも、Journey Builderで分岐数が多い複雑なシナリオを実装したり、長期間に渡るシナリオを実装したりしているケースを耳にします。しかしながら、高度で複雑なシナリオを実装することが必ずしも効果を発揮するわけではなく、逆に以下のようなデメリットが発生することもあります。
デメリット①:費用対効果が低下する
2〜3分岐のシンプルなシナリオではなく、5つ以上の分岐などセグメントを細分化し過ぎた場合、対象者がほとんど存在しない分岐が発生する可能性があります。分岐ごとにメールなどのコンテンツを設定している場合、対象者が少ない分岐のコンテンツはほとんど配信されないことになりますので、制作コストや実装コストを考慮すると費用対効果が低くなってしまいます。
費用対効果が低くならないよう、シナリオ内で分岐を行う場合は、対象者がある程度見込まれる単位でセグメントを検討することが大切です。
デメリット②:効果検証が難しくなる
メールを配信して、その後の反応によって更にメールやLINEなどを組み合わせ、数ヶ月に渡るシナリオを実装してしまうと、最初の配信対象者がシナリオを開始してから最後まで到達するのに数ヶ月の期間を要してしまいます。更に効果検証をするためには、シナリオの最後まで到達した配信対象者がある程度の人数になっている必要がありますので、効果検証を実施できるのがかなり先になってしまいます。
そうならないためにも、シナリオを意味のある最小の単位に分割することが大切です。
デメリット③:引き継ぎが難しくなる
複雑なシナリオを実装する場合、SQLでのデータ加工が必要になったり、データ加工の数も増えてしまったりします。シナリオを実装した担当者や外部の協力会社がいる間は良いですが、担当者が異動や退職でいなくなってしまったり、協力会社への発注を止めてしまったりすると、後任の担当者が実装内容を理解できず、シナリオの修正や改善ができなくなってしまいます。
そうならないためにも、長期的な運用を考慮してシンプルなシナリオを実装することが大切です。
ここまで高度で複雑なシナリオを実装する際のデメリットを紹介してきましたが、だからと言ってシンプルなシナリオにするのは効果が低くなってしまうと考え抵抗のある方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、シンプルなシナリオだと効果が低いというわけではなく、メールなどのコミュニケーションを受け取る生活者にとって関連性が高い内容で、タイムリーに届けることができれば、シンプルな1通だけのメールでも効果は出ます。
最初はシンプルなシナリオから始めてみてはいかがでしょうか。
シナリオ例
続いて、Salesforce Marketing Cloud Engagementを導入してみたけど、何のシナリオを実装したら良いか悩んでいる方向けに、よくある基礎的なシナリオを5つ紹介いたします。
シナリオ①:Birthdayシナリオ
手動で自社の顧客のお誕生日当日にメッセージを届けようとすると、平日でも休日でも毎日配信対象者のリスト抽出や配信設定が必要になりますが、Salesforce Marketing Cloud Engagementを導入すれば、自動で毎日配信対象者の抽出や配信を実行してくれます。シンプルなシナリオですが、単純な繰り返し処理はマーケティングオートメーションツールが得意とする領域です。誕生月に使用できるインセンティブを付与することで購入促進にも貢献します。
シナリオ②:Welcomeシナリオ/オンボーディングシナリオ
会員登録した顧客に対して、会員特典の紹介やチュートリアルなどを数ステップで行うシナリオです。顧客の離脱につながる躓きポイントに対して、あらかじめフォローすることで離脱を防止したり、提供するサービスの価値を正しく伝えることで利用活性化を促したりする効果があります。会員登録日のデータがあれば比較的簡単にシナリオを実装できるのも特長です。
シナリオ③:クロスセルシナリオ
購入した商品と一緒によくセット購入される商品や付属品の紹介、コーディネートの紹介などを行うシナリオです。顧客自身気づいていない隠れたニーズを捉えたレコメンドができれば、購入金額アップが期待できます。但し、AI機能による自動レコメンドを使用する場合を除いて、どの商品をレコメンドするかを選定するために分析の手間やアイデアの検討が必要となります。
シナリオ④:買い替え促進シナリオ
購入した商品の標準的な買い替えサイクルに合わせて、買い替えを訴求するメッセージを届けるシナリオです。単純に同一商品や同じグレードの商品を訴求するだけでなく、上位グレードの商品を訴求することで、購入単価アップも期待できます。こちらのシナリオも、買い替えサイクルを導き出すために分析が必要になるケースがあります。
シナリオ⑤:カート放棄フォローシナリオ
カートに入れたまま購入を完了していない顧客に対して、リマインドのメッセージを届けるシナリオです。効果は期待できますが、シナリオの実装にはEC側でどのようにデータを持っているかなど仕様を考慮する必要があります。Salesforce Marketing Cloud Engagementのタグを使用しても実現できますが、他のシナリオと比較して実装の難易度が上がります。
ここまで5つのシナリオを紹介しましたが、アイデア次第でシナリオは無数に存在します。
「シナリオが思いつかない」などシナリオの企画にお困りの場合や、「実装したいシナリオはあるけれどどのように実装したら良いか分からない」などでお困りの場合は、ぜひSCデジタルメディアにご相談ください。
この記事の執筆者
サービス本部
マーケティングオペレーションGM
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